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29 August 2015

自分の背中を押してみました.

自分を出せないって結構苦しい事と思います.良く,漫画や小説,テレビなので,自分を出した後の爽快感(結果がどうであれ)が描かれているシーンを見ていて,イマイチその描写にピンと来なかった私なのですが,今回,自分で決めて,自分で本当に信じる自分というものを出してみて,めちゃめちゃ人生の達成感!?(大袈裟ですね...でも,ちっぽけな私にとっては本当に其の様に感じたのです)を味わう事が出来ました.人それぞれの置かれる文脈,状況にもよるので,いい加減な事は言えませんが,時には,ここぞという時には,自分が心底信じている熱い想いをぶちまけちゃうの,オススメかもしれません!

以下,私の例→

デンマークに来てはや5年.最初の一年はゲスト助教として雇われ,その後助教となり,産休を取ったため一年契約が伸び...と,助教のポジションをストレッチしてきたs.ですが,そんな私の現在の契約もいよいよ終わりが近づいてきました.それに伴い,去る2月に,学部がAssociate Professor(デンマークではLektorと言います.日本で言う所の准教授)のポジションを打ち出し,それを受けるようにと言ってきてくれました.

うちの学部では,准教授のポジションを受けるにあたり提出する審査書類は以下:

カバーレター
CV/履歴書
論文リスト
共著者からの声明文
Teaching Portfolio 
推薦状3通

私が,この中で,書類作成の90パーの時間とエネルギーを私が費やしたもの,それが!

Teaching Portfolioです.調べた所,日本語での適当な訳語は「教育構成自己資料」だそう.ざっと言うと,自分が「教育」をどう捉えているかを見せるポートフォリオです.入れる内容として,

どんな授業を教えて来たか
教育に関係するクラスやセミナー,資格をとった記録
その過程で自分が教師としてどんな成長を遂げて来たか
授業のシラバスのサンプル
なぜそのようなシラバスなのか
教師としての評価(学生からの評価など)
教師としてのこれからの目標

などなどがあります.

わたくし,自分が,高校時代,大学時代,大学院生時代,ど 〜んなに酷い学生だったかは置いておいて.

大学におけるティーチングのあり方,というものに,「学ぶ」というのは一体?というトピックに,まぁ〜未熟ながらも,並ならぬこだわりがあります!半端無く強い思いがあります!

大学で初めて教え始めたのが2004年.それから苦しんで悩んで試行錯誤して,その過程で,自分の中での「教育の哲学」がとても具体的に見えてきました.

ところが!デンマークに来て,自分の信じるそれと学部の一般的な(注:勿論個人差はあると思いますが,一般的な捉え方)教育への態度・温度が違う事に愕然としました.国の文化・システムの違いであったり,学部文化,はたまたもっともっと複雑な線が絡んでいたり,理由はいろいろあると思いますが,とにかく小さな点(生徒さんの呼び方・関わり方,講義の始め方)から大きな点(全体のシステム)まで,毎日が驚きの連続.

けれど,もちろん,郷に入れば郷に従え.この5年間,今の職場でのやり方をきちんと尊重できるように,同僚や学部や国の教育における考えを色々な角度や立場から自分なりに分析し,成る程,だからなのか,と,納得するところまで来ました.でも,納得・尊重 し,その素晴らしき点を理解し身をもって経験した上で,さて,自分が100パーセント同じようにしたいかと思ったら... 違う.と,思いました.勿論,システム上従わなければいけないところはちゃんと従うし,同僚や学部に迷惑をかけるような事にならないよう極力心がけますが,自分の自由がきくところは,自分の信じるままにやっていきたい,と,改めて思いました.

そんな時に,この Teaching Portfolio作成という課題.ちょっと考えたけれど,自分を出しちゃえ!!と思いました.今まで,会議だったり,もっとカジュアルな同僚との授業についての会話の場面だったりで,皆の一致している見解に負けて,自分が本当に思うところを,出せない事が多々ありました.私のやり方が「バレ」て,ネガティブに驚かれたりもして,めげた事もありました.

でも,今回受ける准教授の審査.自分に嘘をついて,所謂,こちらで無難にウケそうなTeaching Portfolioを出したとして,それで通ったとして,嬉しいか?!いやいや,それで通ったらその嘘の私でteachingしていかなくちゃいけないんじゃん〜.嬉しくない!だったら,私の本当に信じるティーチングを書いちゃって,それで「こんなヤツ,いらん!」って思われちゃった方が全然私の身の為だ!と.逆に,それでも通ったら,こういう私のまま居ていいんだ,って事だし.

こういう大事な書類は,先輩同僚に目を通してもらうのが普通だと思うし,実際私もカバーレターは先輩同僚に一度見てもらいました.が,Teaching Portfolioは,誰かに見せて何か言われても,くじけずにそれを貫き通す自信がなかったので...くじけそうになって内容を変えるのが嫌で... 結果,誰にも見せず,一人で暴走しました.(ケアレスチェックだけ,p.にお願いしました.)

ちなみに,p.に「と言う訳だから,爆発しちゃおうと思うんだ.審査にネガティブに響いちゃうかもだけど,ごめん!大島重工の収入が無くなるかも!」(当時p.は今の仕事をしていなかったので)と言ったら,「いいじゃんいいじゃん~!ダメだったら他の国に引っ越せばいいだけじゃん~!」とあっさりサポートしてくれたので,そのまま,突っ走りました!

結果,46ページのTeaching Portfolioを書き上げました.何度も推敲したので,ぐだぐだ自分の想いを語るのではなく,一貫性を持ってシステマティックに,且つ,私の哲学と熱意が具体的に伝わるようなものを書いた自信と手応えがありました.

提出し終わった後に,今一度自分のteaching portfolioを読み返し,「やっぱこれってヤバかったよな..」とちょっぴり後悔した事実も嘘ではなく...

でも...

その後悔感よりもずーっとずっと上回って大きく私の心にあったものが,爽快感.満足感.開放感!!

さて,このポジションに寄せられたアプリケーションを審査する審査委員会は,3人の先生方から成り立ちました.応募した後に,ポジションを受けた人全員に審査委員の名前が公表されるという仕組みです.今回は,学部内部の准教授,外部から,フィンランドのとある大学の教授1人,コペンハーゲンビジネススクールの准教授一人.

その5ヶ月後,先週,審査結果が届きました.3ページに渡ってシングルスペースで書かれている審査結果,私の目が真っ先に探したものが,「s.のティーチングについて」というセクション.「s. has provided a 46-page Teaching Portfolio for our review.」という,良くも悪くも取れるような文から始まり,やっぱあれって,長過ぎたんだろうか..と読み進めると,「The document clearly demonstrates s.' devotedness and commitment to teaching.」とあり,最後には,「The student feedback is excellent and further strengthens the view of s. as a competent, devoted and experienced teacher in the academic context, who seeks to continuously develop her own teaching and find new, innovative ways to instruct her students.」で締めくくられてました.

他にも研究成果,キャリア積み上げ,などの審査項目を含め,結果,審査合格でした!

嬉しかったです.
でも,何が一番嬉しいかって,本当の自分で勝負をする勇気を持てた事,です.
次に嬉しいのが,それを会った事も無い他人に認めてもらえた事.散々な結果になる事を覚悟して決めて臨んだだけに,とても嬉しいボーナスでした.

そうそう,ここで,「s.はいよいよ准教授になるのね!おめでとう!」と思ってくれた皆様方...すみません!!!

この審査結果は,あくまで,「s.は准教授というポジションにフサワシイ」という審査のみで,ここから,さて,大学と准教授としての契約まで行くかどうか,は別のハナシです... 
いや,今までのうちの大学/学部だったら別のハナシではなかったのでしょうが(実際,同僚に寄ると,うちの学部では審査に通りポジションを得られなかった例は今までにないそうです),いやはや,うちの学部,大きな声じゃ言えませんが,只今,今までに無い危機のもとにあります!連日会議,会議で,おっそろし〜状態にあるので,果たして,実際新しい准教授が雇われるかどうかと言ったら...めっちゃくちゃ疑問です.

(はたまた,このポジションを受けて審査合格した人が複数であれば,大学は,私ではなく彼らを選んだって全然アリなのです.)

なので,依然として,来年の今頃,私がどこで何をしているかは,ちょう謎!!

ですが!!

そんな事は私,どうでもいいんす!!!

自分をぶちまけられた事.その上で審査合格できた事.この2点で,私の目標,既に達成です!
まぁ,また私のちょっと勘違いな自信が大きくなりましたが...まだまだ教師として未熟なので,これからも私に取っての教育の哲学は変わっていくとは思います.いや,変わって行くべきと思っています.でも,今の時点で,自分はこういう方向に行っていいんだ,と,自信がつきました.心の底で,自分はこれでいいんだ,と強く思っていたからこそ本当の自分を出す勇気を出せた訳ですが,それをオフィシャルな場で認めてもらえた事に,また違うレベルの自信をもらいました.

こういう機会を与えてくれた学部に本当に感謝です.そして,いつもながら,私が私らしくいる事への応援を惜しまないp.の存在にも,感謝です.

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